名作列伝

三億年クリーパーF!

〜黄金の粘着宮殿ピジャマママ伝説編〜
日時:2004年7月9・10・11日
場所:相鉄本多劇場

「…無抵抗な私達に差し向けられているその右手、その心、その思想。それはね、いいですか、それは差別ですよ!」

今日もワモンゴキブリは人間に対して自らの立場を訴えていた。
しかし、それに対する人間達の回答は、いつも問答無用で吹き付けられる殺虫剤だった。
ワモンゴキブリ・クロゴキブリ・チャバネゴキブリの三匹は、人間達による彼らへのいわれのない迫害をなくすべくゴキブリ解放同盟・略してゴ解同を結成し、日夜活動を続けていた。

アメリカからやってきたデスヘッドゴキブリもまた、夢を抱きはるばるやってきた日本での現状に失望し、ゴ解同に参加するべく三匹と行動をともにするようになる。

ゴ解同の活動が、他の昆虫たちの生活を脅かすと両手の鎌をちらつかせながら、現れたのは何とオカマのオオカマキリ。四匹のゴキブリ達に対しゴ解同の活動を直ちに中止するよう迫った。
ゴキブリたちは人間たちによる理由なき差別の実態を訴えようとするが、彼女は言い切った、「汚く穢れているゴキブリたちは差別されて当然」と。

人間達に好かれようと必死に愛想を振り撒いているカマキリを始めとする多くの昆虫たちにとって、人間達に好かれる努力もせずに自らの立場を主張しつづけるゴ解同の存在は我慢ならないものだったのである。

その時チャバネゴキブリが言った、「ゴキブリ同士の中にも差別はある」と。他のゴキブリよりも体が小さく、色も違うチャバネゴキブリは、ゴキブリの中でも差別されている存在であるというのである。人間からも最新式の殺虫剤を向けられることもなく、いつもハエやカ専用の殺虫剤でしか相手にしてもらえないと、差別されてきた自らの立場を訴えるチャバネゴキブリ。

しかし、カマキリは指摘した、「あんたもハエやカを下に見てるじゃない、皆同じじゃない」。人間からも、他の昆虫からも差別されてきたゴキブリ。そのゴキブリの中でも差別されてきたチャバネゴキブリ。いつまでも途切れることのない差別の連鎖を見せつけられ、一同を重い空気が包む。

そこへ人間が現われた。懸命に愛想を振り撒くゴキブリ達。しかし、人間は殺虫剤を噴霧。一同は散り散りになって逃げ出した。そして何とクロゴキブリは逃げる途中でゴキブリホイホイに捕まってしまった。助けを求めるクロゴキブリ。他のメンバーは必死に救出策を見出そうと する中、チャバネ ゴキブリとデスヘッドまでがホイホイに捕まってしまう。そしてついには何故かカマキリまでがホイホイにはまってしまった。残るはワモンゴキブリのみ。

ホイホイの中では「はまってもた!!」と虫たちが互いを激しくののしりあい取っ組み合いを始めた。そんな彼らを黙って見つめるワモンゴキブリ。その彼の脳裏には一つの伝説が去来していた。
それはかつてゴキブリホイホイに捕まりながらも再び自由を勝ち取った四匹の勇者たちの伝説。

そう、クリーパーズ伝説だ。

「私達の手で伝説を現実のものにすればいい!」仲間を救う為に立ち上がるワモンゴキブリ。
果たして彼は仲間たちを救い出し、新たな伝説を作り上げることができるのだろうか…。

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